記事監修:INSURANCE 110 DIRECTOR 才田 弘一郎
日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。
「香港で子どもを育てるのは大変そう」「学費や医療費はどのくらいかかるのか」。香港への駐在や移住を控えた家族にとって、子育て環境は最も気になるテーマの一つです。香港は世界有数の教育熱心な都市であり、日本とは異なる教育制度・医療制度・生活コストがあります。本記事では、香港で実際に子育てをしている日本人家庭の視点から、教育・学校選び・医療・費用・支援制度まで包括的に解説します。
この記事でわかること
- 香港の教育制度と、日本人学校・インターナショナルスクール・ローカル校の違いと費用
- 香港の医療制度と子どもの保険の選び方
- 香港で子育てするメリット・デメリットと、知っておくべき支援制度
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香港の教育制度 ― 日本との違いを理解する
香港旅行を計画するうえで、まず押さえたいのが気候・予算・交通の3つです。在住者の肌感覚を交えて整理します。
香港の学校制度の基本(6-3-3-4制)
香港の教育制度は、小学校6年・中学校3年・高校3年・大学4年の「6-3-3-4制」です。義務教育は小学校1年生から中学校3年生までの9年間で、日本と同じです。ただし、香港では幼稚園(K1〜K3、3歳〜5歳)から教育が本格的に始まり、幼稚園選びの段階からすでに競争が激しいのが特徴です。
香港の法定公用語は中国語と英語ですが、実生活や教育現場でのベースとなる共通語は広東語と英語です。多くの学校では広東語と英語で授業が行われるだけでなく、普通話(標準中国語)も必修として組み込まれています。日本人の子どもにとっては、日本語に加えて、英語・広東語・普通話に触れられる多言語環境となるため、言語面でのメリットは非常に大きいといえます。
日本人が選べる学校の種類
香港在住の日本人家庭が選択できる学校は、大きく3つに分かれます。
日本人学校は、日本の文部科学省の教育課程に準拠した学校で、2026年4月以降は大埔校に統合されて運営されます。日本語での教育を希望する家庭に適しており、帰国後の日本の学校への編入もスムーズです。
インターナショナルスクールは、IB(国際バカロレア)やイギリス式・アメリカ式などさまざまなカリキュラムがあります。英語を主言語とする学校が多数派ですが、フレンチ(FIS)やコリアン(KIS)、ドイツ・スイス(GSIS)など特定国のシステムを取り入れた学校も多数存在します。学費は高額ですが、グローバルな教育環境を求める家庭に人気です。
ローカル校(現地校)は、広東語または英語で授業が行われる香港の公立・私立学校です。学費は最も安く、現地の文化に深く触れられますが、日本語でのサポートはありません。
| 学校の種類 | 主な教育言語 | 年間学費目安 | カリキュラム | 帰国後の編入 |
|---|---|---|---|---|
| 日本人学校 | 日本語 | 約HKD 80,000〜135,000 (約150万〜256万円) | 日本の学習指導要領 | スムーズ |
| インターナショナルスクール | 英語など | 約HKD 100,000〜250,000 (約190万〜480万円) | IB / 英国式 / 米国式 | 帰国子女枠で対応 |
| ローカル校(公立) | 広東語 or 英語 | 無料〜約HKD 30,000 (〜約57万円) | 香港DSEカリキュラム | 要個別対応 |
※学費は2025-2026年度の概算であり、学校や学年により異なります。
出典:香港日本人学校 公式サイト
2026年の重要な変更 ― 香港日本人学校の統合
2026年3月31日をもって香港日本人学校の香港校(ハッピーバレー)が閉校し、大埔校に統合されます。これにより、香港島・九龍半島に住む家庭は通学距離が大幅に変わるため、住居選びにも影響が出ます。日本人学校への通学を予定している方は、通学バスのルートと所要時間を事前に確認してください。
香港の医療制度と子どもの保険
公立病院と私立病院の違い
香港の医療制度は、公立病院(Hospital Authority管轄)と私立病院の二層構造です。公立病院は香港IDカード保持者であれば非常に安価(外来1回HKD 150程度)で受診できますが、待ち時間が長く、英語での対応が限られる場合があります。旅行者・非居住者など 、香港IDカードを保持していない方の外来は、1回HKD500で受診できます。
私立病院は待ち時間が短く、日本語対応が可能な医師もいますが、費用は全額自己負担です。一般的な外来診察で HKD 800〜1,500(約15,000〜28,000円)、入院ともなると1泊 HKD 3,000〜10,000(約57,000〜190,000円)以上かかることもあります。
子どもの医療保険の選び方
駐在員家庭の場合、会社が提供する団体医療保険でカバーされるケースが多いですが、保障範囲や上限額は会社ごとに異なります。現地採用や自営業の場合は、個人で医療保険に加入する必要があります。
香港の民間医療保険は、入院保障を中心としたプランが一般的です。子ども向けには、外来診察(GP)・歯科・予防接種をカバーするオプションを追加することを推奨します。保険料は子ども1人あたり年間 HKD 5,000〜15,000(約95,000〜285,000円)程度が目安です。
香港での子育て費用 ― 月額の目安
香港の生活費は東京より高く、特に家賃が大きな割合を占めます。以下は、子ども1人(小学生)がいる3人家族の月額生活費の目安です。
生活費のシミュレーション(子ども1人・3人家族)
| 費目 | 月額目安(HKD) | 月額目安(日本円) |
|---|---|---|
| 家賃(2LDK・50㎡前後) | 20,000〜35,000 | 約38万〜67万円 |
| 学費(日本人学校の場合、月割) | 約7,000〜8,000 | 約13万〜15万円 |
| 食費(自炊中心) | 8,000〜12,000 | 約15万〜23万円 |
| 医療保険(家族) | 1,500〜3,000 | 約3万〜6万円 |
| 交通費 | 1,500〜3,000 | 約3万〜6万円 |
| 習い事・教育費 | 2,000〜5,000 | 約4万〜10万円 |
| その他(通信・日用品等) | 3,000〜5,000 | 約6万〜10万円 |
| 合計 | 43,000〜71,000 | 約82万〜136万円 |
※1 HKD = 約19円で換算(2026年4月時点)。家賃はエリアにより大幅に異なります。
香港で子育てするメリット
グローバルな教育環境
香港最大のメリットは、英語・広東語・中国語・日本語に触れられる多言語環境ですインターナショナルスクールに通えば、世界各国の子どもたちと日常的に交流でき、異文化理解が自然に身につきます。IB(国際バカロレア)のディプロマを取得すれば、世界中の大学への進学が可能です。
治安の良さとコンパクトな都市設計
香港は世界的に見ても治安が良い都市の一つです。MTR(地下鉄)やバスなどの公共交通機関が発達しており、車がなくても生活できます。都市がコンパクトなため、学校・病院・買い物の移動時間が短いのも子育て世帯には大きなメリットです。
日本人コミュニティの充実
香港には約2万人の日本人が在住しており(外務省海外在留邦人数調査統計)、日本人向けのコミュニティ、サークル、イベントが充実しています。日本食レストランや日系スーパー(AEON、ドン・キホーテ等)も多く、日本の食材や日用品の入手に困ることはほとんどありません。
出典: 外務省「海外在留邦人数調査統計」
香港で子育てするデメリット
教育費・生活費の高さ
香港の最大のデメリットは生活コストの高さです。前述の通り、家賃だけで月38万〜67万円、インターナショナルスクールの学費は年間190万〜480万円に達します。駐在員であれば会社からの住宅手当や教育手当でカバーされることが多いですが、現地採用の場合は家計への負担が大きくなります。
住居の狭さ
香港は世界で最も住居費が高い都市の一つであり、東京と同じ家賃を払っても部屋の広さは半分以下になることがあります。子どもが走り回れる広さの部屋を確保するのは難しく、公園やプレイルームなど外の遊び場を積極的に活用する必要があります。
教育競争の激しさ
香港は教育熱が非常に高く、幼稚園の入園面接から競争が始まります。ローカル校に通わせる場合、宿題の量が日本に比べて多く、習い事も含めて子どものスケジュールが過密になりがちです。「のびのび育てたい」という教育方針の家庭は、この競争文化にストレスを感じる可能性があります。
大気汚染と狭い自然環境
香港は季節によって大気汚染が深刻になることがあり、特に冬場は中国大陸からの越境汚染の影響を受けます。都市部では自然に触れる機会が限られるため、週末にハイキングやビーチに出かけるなど、意識的に自然と触れ合う時間を作る必要があります。
香港は教育熱が非常に高く、幼稚園の入園面接から競争が始まります。ローカル校に通わせる場合、宿題の量が日本に比べて多く、習い事も含めて子どものスケジュールが過密になりがちです。「のびのび育てたい」という教育方針の家庭は、この競争文化にストレスを感じる可能性があります。
香港の子育て支援制度
幼稚園学費補助(学券制度)
香港政府は、幼稚園教育計画に参加している非牟利(非営利)の幼稚園に通う3〜5歳の子どもを対象に、学費補助制度を設けています。パスポートの有効なビザや出生証明書などで「居住資格」が証明できれば、国籍を問わず幼稚園入学登録証(Registration Certificate for Kindergarten Admission / 通称:RC)を申請可能で、この証明書を幼稚園に提出することで、補助が適用されます。 半日制の幼稚園であれば、学費のほぼ全額がカバーされるケースもあります。
児童手当(社会保障制度)
香港には日本のような児童手当制度はありません。ただし、税制上の控除として、2026/27年度(2026年4月以降)からは、子ども1人あたり年間HKD 140,000(約266万円)の基本免税額が認められています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 香港では何歳から幼稚園に入れますか?
香港の幼稚園は通常K1(3歳)から入園可能です。多くの幼稚園ではプレナーサリー(2歳〜)も受け入れています。人気のある幼稚園は1年以上前からウェイティングリストに登録する必要があるため、早めの情報収集が重要です。
Q2. 日本人学校とインターナショナルスクール、どちらがおすすめですか?
帰国後の日本の学校への編入を重視するなら日本人学校、グローバルな教育環境と英語力を重視するならインターナショナルスクールが適しています。駐在期間が3年以内であれば日本人学校、長期滞在や現地就職の可能性がある場合はインターナショナルスクールを選ぶ家庭が多い傾向です。
Q3. 香港で出産する場合、費用はどのくらいかかりますか?
公立病院での出産費用は、香港IDカード保持者であれば安価に抑えられます。入院費が1日HKD300で、帝王切開、無痛分娩、または合併症等により入院日数が伸びた場合は加算されていく仕組みです。また、香港の公立病院では、非有資格者の事前の分娩予約を原則として一切受け付けていません。
私立病院の場合は、自然分娩で HKD 50,000〜100,000(約95万〜190万円)、帝王切開で HKD 100,000〜200,000(約190万〜380万円)程度が目安です。医療保険のマタニティカバーの有無を事前に確認してください。
Q4. 日本語の教科書は香港でも受け取れますか?
はい。義務教育の学齢の日本国籍のお子さんは、海外在住でも教科書の無償配布を受けられます。2026年度から配布方法が変更され、事前申し込み制で宅配となります。香港日本人学校または在香港日本国総領事館を通じて手続き可能です。
Q5. 子どもの医療保険は日本のものを継続できますか?
日本の国民健康保険は海外転出届を提出すると資格を失います。海外療養費制度を利用して後日還付を受ける方法もありますが、手続きが煩雑で還付額も限定的です。香港での医療費を確実にカバーするには、会社の団体保険または香港の民間医療保険への加入を推奨します。
香港での子育ては「準備」で決まる ― 情報収集を今日から始めよう
香港での子育ては、教育のグローバル性、治安の良さ、日本人コミュニティの充実という大きなメリットがある一方、生活費の高さ、住居の狭さ、教育競争の激しさというデメリットもあります。いずれも事前の情報収集と準備で対応可能な課題です。
特に学校選び、住居選び、医療保険の手配は渡航前に済ませておくことで、到着後の生活をスムーズに始められます。香港での子育てを検討されている方は、まず家族のライフプランを整理した上で、具体的な費用シミュレーションから始めてみてください。
※本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。税務に関する詳細は、税理士等の専門家にご相談ください。
海外資産運用のご相談は、『Insurance110(ワンテン)香港』へ
Insurance110は2013年創業、親会社NNI香港は1998年から香港で金融サポートを開始しました。
世界6カ国13拠点(香港・米国・タイ・台湾・シンガポール・日本)で、累計27,000名以上の海外在住日本人をサポートしてきました。
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