記事監修:Insurance110 シニア資産コンサルタント
才田 弘一郎(さいた・こういちろう)
日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。
「香港の保険は利回りが高いと聞くけれど、デメリットは何なのか?」加入を検討する方が最後に知りたいのは、メリットではなくリスクのほうのはずです。本記事では、香港保険業監理局登録の正規ブローカーであるInsurance110の実務経験をもとに、香港の貯蓄型保険のデメリット7つを対処法とセットで解説します。良い面だけを見て契約すると後悔します。悪い面を知ってから判断してください。
この記事でわかること
- 香港の貯蓄型保険のデメリット7つと、それぞれの対処法
- 早期解約でどのくらい元本割れするのか、返戻率カーブの目安
- 非保証部分の実績を確認できる「配当実現率」の見方
\ご不明点やご質問はお気軽にどうぞ/
香港の保険にデメリットはあるのか、結論と全体像
結論として、デメリットは明確に存在します。香港の貯蓄型保険は「長期で持てば米ドル建てで複利運用できる(ほか複数通貨で運用できる商品もある)」商品である一方、その裏返しとして「短期・円建て・ほったらかし」の使い方には向きません。
| 視点 | メリット | デメリット(裏返し) |
|---|---|---|
| 期間 | 長期複利で増え、2世代・3世に渡って引き継げる設計 | 早期解約は大きく元本割れだが、配当部分を効果的に引き出し可能 |
| 通貨 | 米ドル建てで通貨分散できる | 円ベースでは為替リスクを負う |
| リターン | 日本の商品より高い利回り水準 | 一部は非保証(実績確認が必要) |
| 制度 | 国際金融センターの商品層の厚さ | 日本と法制度・書類言語が異なる |
以下、デメリット側を1つずつ具体的に見ていきます。
香港の貯蓄型保険のデメリット7つ
1. 早期解約は大きく元本割れする
最大のデメリットです。貯蓄型保険は契約初期のコストが前倒しで差し引かれる構造のため、解約返戻金は最初の数年間ほとんど積み上がりません。一般的な設計例では、契約1〜2年目の解約で返戻率はゼロ〜数十%、払込総額を回復する損益分岐は早いもので4〜5年で、一般的なもので7〜10年前後です(商品・払込方法により異なります)。
対処法はシンプルで、10年以上使う予定のない資金だけで契約することです。生活防衛資金や数年内に使う教育資金を入れてはいけません。
一方で、近年のプランは最短で契約から1年が経過すると配当部分を引き出し続けることが出来るプランや、例えば5年目から年金や生活資金の上乗せとして、投資額の5%程度を継続的に引き出せるプランなどもあり、昔ながらの『資金が寝てしまう』印象のものとは一線を画しています。
2. 為替リスクを負う(米ドル建てが基本)
香港の貯蓄型保険は米ドル建てが主流です。円ベースで見ると、受け取り時に円高が進んでいれば手取りは目減りします。逆に円安なら増えるため、リスクであると同時に通貨分散の機能でもあります。
対処法は、受け取りを一括にせず時期を分散すること、そして米ドルのまま受け取って使う選択肢(海外生活・学費・次の運用)を持っておくことです。
3. リターンの一部は「非保証」、配当実現率の確認が必須
設計書に書かれた将来の受取額には、保証部分と非保証部分(配当)があります。非保証部分は運用実績により変動するため、設計書の数字がそのまま約束されるわけではありません。
ここで役立つのが、香港保険業監理局(IA)が開示を義務付けている「配当実現率(Fulfillment Ratio)」です。各保険会社は、販売時の設計書どおりに配当をどの程度実現できたかのを示す実績比率を自社サイトで公表しています。100%に近いほど設計書どおりの実績です。加入前に候補商品の配当実現率を確認すること、これは現地の専門家が必ずやる基本動作ですが、日本語の情報ではほとんど紹介されていません。
4. 日本と法制度・書類の言語が異なる
契約書類は英語または中国語が基本で、準拠法も香港法です。日本の感覚のまま「なんとなく」加入すると、契約内容の誤解や手続きの停滞につながります。
対処法は、日本語対応の正規ブローカー経由で加入し、重要書類の内容を日本語で説明してもらうことです。あわせて、保険会社の財務健全性(ソルベンシー比率)を確認しておくと安心です。倒産時の扱いは保険会社が倒産したら、契約はどうなる?で解説しています。
5. 日本帰国後の受け取りには日本の税金がかかる
香港では保険の受け取りに原則課税されませんが、日本帰国後(日本の税務居住者になった後)に解約返戻金や満期保険金を受け取ると、日本の税制(一時所得等)が適用されます。「香港の商品だから非課税」ではありません。
対処法は、受け取るタイミングと居住地をセットで設計することです。判定方法は解約返戻金にかかる税金を簡単に判別する方法にまとめています。
6. 数十年付き合う「担当者選び」を間違えると苦労する
貯蓄型保険は20年、30年と持ち続ける商品です。その間に住所変更・受取人変更・一部引き出しなどの手続きが必ず発生し、窓口になるのは加入時の代理店・ブローカーです。担当者が退職したり、代理店・ブローカーが廃業したりして連絡が取れなくなる「孤児契約」は、私たちへのご相談でも非常に多いトラブルです。
対処法は、個人ではなく組織として継続サポート体制のある会社を選ぶこと。万一の場合も担当者・代理店の変更は可能です。
7. 加入には香港への渡航が必要
香港の保険は、香港域内で申し込み手続きを行うことが原則です。日本に住みながら書類だけで加入することはできず、渡航日程の確保が必要になります。逆にいえば、海外在住・香港訪問の機会がある方にとっての選択肢という位置づけです。
デメリットを対処法に変える、加入前チェックリスト
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 運用の目的 | 教育資金、移住生活資金、老後生活資金など、自分の目的に適した機能があうか |
| 資金の性質 | 10年以上使わない余裕資金、もしくは短期では不要な資金か? |
| 為替 | 米ドルのまま使う出口があるか、円転の時期を分散できるか |
| 商品の実績 | 配当実現率を確認したか(IAサイト・保険会社サイト) |
| 会社の健全性 | ソルベンシー比率・格付けを確認したか |
| 税金 | 受け取り時の居住地と課税関係を設計したか |
| サポート | 担当者ではなく、組織として長期サポートがあるか |
| 手続き | 香港への渡航日程を確保できるか |
8項目すべてに答えられれば、デメリットは「管理可能なリスク」に変わります。1つでも曖昧なら、契約を急ぐべきではありません。
それでも香港の貯蓄型保険が選ばれる理由
デメリットを並べたうえで付け加えると、これらはいずれも「事前に分かっていれば対処できる」性質のものです。米ドル建ての複利成長、日本の商品との利回り差、資産承継機能といったメリットの大きさは、リスク管理を前提にすれば揺らぎません。
メリット側の詳細は香港保険の利回りが高い理由とは?で解説しています。
まとめ
香港の保険のデメリットは、早期解約の元本割れ、為替リスク、非保証部分の存在、制度・言語の違い、帰国後の税金、担当者リスク、渡航の必要性の7つに整理できます。いずれも事前に把握しておくことで対処しやすくなるリスクであり、投入する資金の性質を見極め、配当実現率と会社の健全性を確認し、出口まで設計してから加入すれば管理できます。
検討中の商品について、デメリット側から質問をぶつけてみてください。誠実な答えが返ってくるかどうかが、担当者選びの試金石にもなります。
よくある質問(FAQ)
香港の保険はやめたほうがいい人はいますか?
います。5年〜10年など短期に使う可能性のある資金しかない方、円建て・元本保証でないと不安を感じる方、担当者と長期の関係を築くことに抵抗がある方には向きません。逆に、余裕資金で通貨分散をしたい海外在住の方には有力な選択肢です。向き不向きは資金の性質とご本人のリスク許容度で決まります。
途中で解約したらいくら戻ってきますか?
契約からの経過年数によって大きく異なります。一般的な設計例では1〜2年目はほぼ戻らず、損益分岐(払込総額の回復)は早いもので4〜5年、一般的には7〜10年前後です。正確な金額は契約時の設計書に年次ごとの解約返戻金として記載されているので、契約前に必ず最初の10年分を確認してください。
為替リスクにはどう対処すればよいですか?
受け取り時期の分散と、米ドルのまま使う出口の確保が基本です。一括で円転すると受け取り時点の為替レートの影響を大きく受けることになります。一部解約機能を使って複数年に分けて受け取る、海外の学費や生活費に米ドルのまま充てるなど、円転しない選択肢を持つほどリスクは小さくなります。
日本に帰国したら契約はどうなりますか?
契約自体はそのまま継続できます。保険料の支払いも海外送金やクレジットカードで続けられる商品が一般的です。ただし、現在のような円安傾向の強い時期では、帰国後の海外保険料支払いがかなり負担感を感じる可能性もありますので、担当者と相談の上、支払い完了スケジュールや、負担にならない金額の設計をしておいたほうが良いでしょう。
また、注意すべきは受け取り時の税金で、日本の税務居住者として受け取ると一時所得等の課税対象になります。帰国前に受け取りスケジュールを設計しておくことをおすすめします。
配当実現率はどこで確認できますか?
各保険会社が自社サイトで公表しているほか、香港保険業監理局(IA)のサイトに各社の開示ページへのリンク一覧があります。年間配当・復帰配当・終期配当の3種類が商品シリーズごとに開示されており、100%に近いほど販売時の設計書どおりの実績という意味です。過去数年分の推移を見ると、その会社の配当実績の安定性がわかります。
※本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。税務に関する詳細は、税理士等の専門家にご相談ください。
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世界6カ国13拠点(香港・米国・タイ・台湾・シンガポール・日本)で、累計27,000名以上の海外在住日本人をサポートしてきました。
香港保険業監理局(ライセンス番号:FB1667)に登録された正規保険ブローカーとして、500種類以上の保険・資産運用商品の中から、日本でのFP経験も豊富なフィナンシャルアドバイザーが、海外資産運用のきっかけ作りをサポートします。
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